商業界から学ぶ

 ここ1か月の間にあい前後して、コンビニエンスストア業界に深く関わった方々にお話を伺う機会をちょうだいしている。
 一人は大手チェーン本部の管理部門の出身者。一人は地方チェーン本部の元社長。お二方とも中小企業診断士の資格をお持ちである。
 食事の席などの断片的な会話であるけれども、流通とは何か、マーチャンダイジング(商品化計画)とはどういうことか、いわゆる提案型営業とはどのようなことを意味するのか、といった事柄について実に考えさせられる体験をした。


 一方で図書館界隈というと、コンビニエンスストアといえば“民間委託業者のもとで働く図書館員の時給はコンビニ店員並み”といった形で言及の対象となっている。
 あるいは、“貸し出しや返却の際にバーコードをなぞる仕事は(以下略”といった形での比較対照か。
 実に皮相を捉えた、もっともな対比ではある。(;´∀`)


 それはともかく要するに、待遇や仕事に対する社会的評価がぱっとしないということなのだが、現状ファシリテーターの働きを訴求してみても無反応…専門家情報の発信について問題提起してみても無反応…という状況*1にあっては、待遇云々の嘆き節を開陳されても“ふーんそうですか”としか応えようがない。


 近ごろ話題になっている貸し出し履歴の活用といった話は、端的にCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)といった知見に通じる事柄である。
 分かりやすい論点(法の下の平等とか人格権とか)に飛びついて大きな議論*2を展開するのみならず、例えば商業界から地道に何かを学ぼうという発想はないものか。

*1:2007年12月26日付「図書館と図書館員に対する指摘(長文)」参照。

*2:大抵は、例えば「平等」は絶対的平等か相対的平等か、といった解釈上の論点をすっとばしていたりしてお粗末な内容なのだが。

筑波研究学園都市

 行ってきました。

主な訪問先です

1月26日(土)
 つくば市立中央図書館を見物
 つくば美術館を見物
 つくばエキスポセンターを見物
 筑波大学春日キャンパスを見物
 図書館情報学図書館を訪問
 つくばインフォメーションセンターを見物
 財務戦略の臨時会に出席
 学校経営の例会に出席

所感

 行きは高速バスの「つくば号」を、帰りは郊外鉄道の「つくばエクスプレス」を利用した。
 市立図書館のちらし棚には、地元民向けの広報誌やイベントのちらしのようなものしか置いていない。研究学園都市という性格上、余所から短時間の滞在で訪れる方々も多いだろうに、地域の情報センターとしての働きはいま一つと見た。観光地図とか買い物案内とかを配布することはできないのか。(現状そういうものは観光案内所や商業ビルという個別の施設を訪れなければ手に入らないようだ)
 春日(かすが)キャンパスの図書館は、“図書館(学)の図書館”ということで、つまりはメタ図書館なのだ。蔵書は実に立派だ。ただ、ブログについて語るブログ、すなわちメタブログが長続きしない――ブログ言説おなか一杯(;´∀`)――ことが示唆するように、上向きの発展を持続するにはもう一工夫あって然るべきとも思われるがどうか。

ポット出版社長 沢辺均いわく…
 僕は図書館の目標は、「本をめぐる体験の世界を豊かにする」ことだと思っているんだけどさ、それは図書館だけで完結する話じゃないよね?
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20080108/p1 「書物蔵」参照

筑波研究学園都市

 先日の記事を受けて、1月26日(土)の午前ですが筑波研究学園都市を見物に訪れようかと検討中です。
 http://d.hatena.ne.jp/moralaturgie/20080113/1200252921


 つくば市には同業の知り合いがおりません。もし軽く案内役を引き受けてもよい、という物好きな方がいらっしゃいましたらお知らせください。

京都リサーチパーク

 先週末は、三都の三日間でした。

主な訪問先です

1月10日(木) 京都市
 京都リサーチパークを見物
 京都産業21を訪問
 京都市中小企業支援センターを訪問
 京都国際漫画ミュージアムを見物
 技術経営の例会に出席
1月11日(金) 大阪市京都府精華町名古屋市
 あきない総合研究所大阪本社を訪問
 けいはんなプラザを見物
 国立国会図書館関西館を見物
 ディベートの例会に出席
1月12日(土) 東京都千代田区
 財務戦略の例会に出席

三都串刺し

 たまたま知人が主宰する例会が3日連続していたため、いわゆる三都(旧来の京・大坂・江戸ないし現代の東京・名古屋・大阪)を貫く形で参加することになった。このように、各地で質の高い研究会活動なり同好会活動なりが継続的に行なわれていることは、意義深いことだ。
 京都リサーチパーク(KRP)はインキュベーション施設を提供しており、言わずと知れた株式会社はてなの旧入居先である。ちょうど広報誌「KRP PRESS」が昨年末に創刊100号を迎えたところ、歴史を感じる。
 京阪奈学研都市には、たまたま公的機関の支所長をしている知人がいたので、事前の情報入手を含めて短時間ながらも充実した視察を行なうことができた。今度はつくばエクスプレスの体験も兼ねて、筑波の研究学園都市にも行ってみなくては。

図書館と図書館員に対する指摘(長文)

 図書館断想のkatz3氏による、図書館有料化に対する記事「民度が低い」に反応してみる。
http://d.hatena.ne.jp/katz3/20071226

 katz3氏の主張自体は以前から繰り返し行なわれてきたご指摘であって、禿げ上がるほど同意。
 ロビー活動の必要性については、特に付け加えることはない。例えば日本のNPO(非営利組織)の制度の成り立ちが、地道なロビー活動の賜物であることは周知のとおり。


 あえて付言するなら、もっと「アウトリーチ」をしっかりやりなさいといったことか。
 例えば近ごろ注目を集める分野としては、産学官連携の催しであるとか情報技術や知的財産関連の展示会や情報交換会などに積極的に顔を出し、自己(図書館・図書館員)の存在意義や活動内容を知らしめるといった広報活動を行なっては如何ですかということだ。
 それらは都道府県や市町村の政財界の要人に知遇を得る機会でもあって、利用しない手はない。しかし私の知る限り、図書館員の方々がそのような機会に名刺交換している場面にお目にかかったことはない。
 仲間内のイベントや勉強会でワイワイやっているだけではなく、カネの流れるところに絡んでいく必要がある。(それは私たちのコンサルタント業界でも同様なのだが)
 むろんロビー活動とはいっても、いきなり相対で政治家に接触するのはどうよといった部分があるので、まずは異業種の人間が幅広く集う一般公開の場でプレゼンテーションをしっかり行なうことが有効と思われる。


 上述の点に関して、電気通信大学の竹内利明氏が非常に明快な指摘をなさっているので、今さらながら引用した。(日本語のShift-JISコードで表示する必要有り)
http://web.archive.org/web/20050319122518/http://www.arc-net.co.jp/arc/H15semi/b_library_houkoku2.htm

(冒頭から3分の2ぐらい進んだ箇所:「土曜日・日曜日に」で始まる段落)
……自分でちゃんと行って、その人と名刺交換をして、話をして、どういうバックグラウンドを持っていて、どういうことを得意として、どんな考えを持っている人なのかをちゃんと聞いてくる。…(中略)…但しバックグラウンドがわかるようにちゃんと行って話をしてください。図書館というのは、座っていて市民にサービスしようというのは横着すぎる。自分達がどんどん出ていって、市民が何を求めているのか、それがビジネス支援図書館であればビジネス産業界に出ていって、商工会議所と経営者の集まりに出ていって、うちの図書館は使えますか、使ってくれていますか、こんなものがあるんですが、どうですか、ということをやっているかどうかということが重要で、そういうことをやらなくてはいけない。……


 ところで余談ながら、私が始めた「ウェブログ図書館」という試みは、狙いとしてウェブコンテンツ産出のファシリテーションを行ないたいという意図がある。
 すっかり人口に膾炙した観のあるWeb2.0とは、要するに情報入手が楽ちんになり、口を開けて待っていても情報が飛び込んでくる側面が大きい(私も重宝している)。見物人でも傍観者(図書館界隈はコレが多いかも)でもなく、みずから行動する演者はまだまだ少数であって、それを理念(?)とするべくジサクジエン(・∀・)を掲げているのだが。
 ともかく、市販の書籍のように出来合いのコンテンツを貸し出すのではなく、(貸し出しという概念から離れて)コンテンツ産出に関与できるのがウェブ図書館の特徴といえる。


 ちなみに図書館分類を採用している理由は、一定の枠の中で相応の力を発揮してくださいという趣旨。例えば学問の領域ではディシプリンと呼ばれる知識体系に立脚すること(トンデモでないこと)、スポーツの領域ではボクシングの公式試合でレスリングの技を繰り出せば反則といったことだ(内藤チャンピオンの試合)。
 ときどき細かい分類法にこだわる方がいらっしゃるが、個人的にそれはどうでもよろしい。


 とはいえ現状では、見て分かるとおり機能していない。
 例えばウェブログ図書館業務日誌ではこの辺りとか…
http://column.chbox.jp/home/jienology/archives/blog/main/2006/03/17_065402.html
http://column.chbox.jp/home/jienology/archives/blog/main/2006/09/06_205849.html
 はてなダイアリーではこの辺りとか…
http://d.hatena.ne.jp/moralaturgie/20051219/1134949149
http://d.hatena.ne.jp/moralaturgie/20051227/1135664786
そういった記事は基本論点になると見ているが、何ら議論を喚起することはなかった。(;´∀`)
 アルファブロガーの記事に素早く反応するとか(私もよくやった)、同業者の内輪ネタ的発言に盛り上がるとか、そのような形でのコンテンツ産出が多い。異質な人間のコンテンツ(脳みそ)をウェブコンテンツ(ブログなど)に再構成するといった、ファシリテーションに通じる流れは少ないように思うがどうか。


 図書館員の愛弟子のroe氏による先日の記事によると、以下のような指摘があったりするのだが、現状「骨のある記事」らしきもの(katz3氏などは好例)を流しても図書館界隈には大して議論を喚起せず、ましてや関係者の行動につながることは稀なのだから仕方がない。
 http://lomax.cocolog-nifty.com/apprentice/2007/11/post_08af.html

 総合展に行ってきたよ〜という記事もおもしろい(でもそれって、育児日記や学生の生活日記と変わらないよね?それだけでも数が少ない)のだけど、それより、骨のある記事を読みたい。
 見聞してきた件の事実や評価のポイントがどこで(紹介)、最低、その話題に関する資料を集め・まとめる(書誌作成・参考情報の採集)。論拠を並べて「自分がどう思ったか」(分析評価・結論)。
 採り上げられているのとは違う事実や評価を探し出してきて、自分の頭で考える。何でも疑う、権威ある方に対しても不遜なぐらいでないとね、と思うんです。それも頭の中で考えたことだけ書き連ねるのではなくて、足や手を使って、調べて。


 実をいうと、ファシリテーションという点では私自身のファシリテーションをやってもらいたいという需要がある。恥ずかしながらブログの更新が滞っている現状は、面倒くさいというか詰まらないからで、張り合いがないから。ブログ外ではいろいろ活動しており、発信に堪える題材もある。それを、守秘義務に抵触しない形で促進していただきたいという次第。
 遊ばせるぐらいのつもりで月五万円から十万円程度の報酬を支払って、ファシリテーターとして活動してもらえれば幸いである。
 いわば“自宅でもできる、誰にでもは出来ないお仕事”ということで、もちろん専門家として素養やアウトリーチの実践など要求水準は高いが、労働者として指揮監督下に置くわけではないので裁量の余地は大きいはず。


 自身のプロモーションにもなるのだから、あとは損得勘定の問題となる。百万円の受注ができるのならば、十万円程度を広告宣伝費というか販売促進費として使っても惜しくはないという道理だ。
 しかしながら現状の図書館界隈においては、数百円の入場料を徴収するとか、月会費数千円ではどうかといった議論に終始しているのは皆さんご存知のとおり。ヽ(´ー`)ノ


 それはともかく、専門性を自認する図書館員の方々からのコンタクトはない。(むしろ図書館団体からはスルー傾向にあり)
 一方で、研究者のデータベース(例えば科学技術振興機構による研究開発支援総合ディレクトリとか)や士業者のデータベース(例えば中小企業支援機関ISICOの「人材情報」とか)のように、専門家情報を組織的に発信する情報源が存在しない(私の知る限り)ため、どこにどんな専門性をもった方々がいらっしゃるのか当方が知る機会は乏しい。
 最寄りの公立図書館に赴いても、カウンターには素人っぽい人しか座っていないことが多いし、私は派遣会社の人間ですと明言する施設もある。大学図書館だって、社会人が利用しやすい日時(夜間や週末)は非常勤職員が業務にあたっていて要領を得なかったりする。


 先日国立国会図書館を訪れたのだけど、利用者には実にさまざまなデータベースが提供される一方で、そういえば図書館員のデータベースなんてあったかしら? 図書館のデータベースではなくて、全国の「図書館員」のそれだ。
 例えば商工会議所の経営相談員などだと、利用案内のちらしに顔写真入りで履歴や専門分野が記述されていることはよくある。都道府県単位で専門家情報を冊子にまとめて無料配布していることもある。
 公的機関の相談員でなくても専門家情報を提示するのは当たり前であって、例えば公務員(図書館員)の名刺の裏側なんて白紙であることが多いだろうが、専門家(コンサルタント)の場合は名刺の裏側などに専門家情報を記載して役務の受け手(企業の社長など)に提示することは普通に行なわれる。


 近ごろは、図書館でもレファレンスやコンシェルジュといった、従来の貸し出し業務に留まらない役務が注目されている。しかしながら、担当者の履歴や専門分野が顔写真入りでパネルに掲示されている、といった例を見たことがない。担当者の論文や著書が参考情報としてカウンターに陳列してあるという例はもっと知らない。(もしあったら教えてください)
 先日は国会図書館を訪れたあと、たまたまその足で江東区の商業施設「ららぽーと豊洲」を訪れている。ららぽーとには由緒のあるパイプオルガンが設置されていて、ちょうどオルガン奏者がクリスマスの楽曲を演奏していた。
 付近には、近々行なわれるコンサートのチラシが並べられていて、裏面には奏者の経歴が詳細に記載されていた。なるほど、それは専門家(ここではオルガン奏者)が場所と時間を占めることと対応関係にあるのだ。(演奏抜きのちらし配布は宣伝ウゼー/ちらし無しの演奏はこいつ誰?)


 なお、ここで大切なのは、実際に「行動」を起こすこと。仲間内のブログで話題にするとか、ブックマークで晒すとかだけでは、状況は変わらないと思われる。
 専門性を自認する図書館員の方々がみずから専門家情報を発信するとなると、ことインターネットにおいては個人情報管理の観点からリスクが伴うのはご承知のとおり。
 そのような諸々の困難(?)を乗り越えてでも行動することができるか、それは冒頭で述べたアウトリーチにもまさに関わる問題ですね。

非日常

 今週末は、非日常の3日間でした。

主な訪問・視察先です

8月16日(木)
 カントリープレス社(会談)
 パティオ大門(視察)
8月17日(金)
 東京ビッグサイトコミックマーケット
 玉川高島屋(展示会)
 東京ミッドタウン(視察)
8月18日(土)
 東京しごとセンター多摩(研究会)
 東京しごとセンター(研究会)
 東京ボランティア・市民活動センター(情報収集)

以下雑感です

 コミックマーケットは初参加であり、まことに(・∀・)イイ!体験ができたと思う。
 12時ごろに最寄り駅に到着したのだが、初日にしては大混雑しており、日差しも強かった。しかしながら、人出もホドホド、天候もホドホド、というぬるい条件では醍醐味がないだろう。
 東1〜6、西1〜4、コスプレ広場をひととおり巡ることができた。
 地方版のコミックマーケット(大阪など)には以前一般人として参加したことがあるが、まったく規模が違う。
 また、東京ビッグサイトにしてもインテックス大阪にしても、我々には産業展示会のイメージがあり、「企業ブース」ぐらいの区割りに馴染んでいる。その通念を打破するかのように、小さな机が整然と並べられている様子が壮観だった。
 ネットで言われるほど、デブヲタやキモヲタの比率が高いようには思えなかった。いわゆる“非モテ〜”といった感じの方々はたくさんいらっしゃったけど。
 「COMIKET PRESS 総集編4」を購入した。コミックマーケットが、プロジェクト・マネジメントの上に成り立っていることがよく分かった。

名刺交換会

 先日、ある財団法人の助成金申請に関する勉強会に参加しました。
 これは、NPO法人など社会貢献活動を行なう団体への助成事業について、助成金申請を前提にした実践的な勉強会を行なうものです。
 その助成財団はそれほど大きな組織でもないのに、地方都市での催しに7名もの職員が出張るという貴重な機会となりました。


 勉強会のあとには30分程度の名刺交換会がありました。
 この手の集まりではいつも気づきをいただくのですが、ここではやり方がまずいと痛感しました。
 同じ団体から3人来ていて、名刺交換会の時間になってもその3人でしゃべっているとか。(助成金の作戦会議ならその団体の例会でやればいいことで、今は他団体との情報交換にいそしむのが吉…)
 自分の所属団体の活動分野を担当する財団職員を捕まえて、10分でも15分でもしゃべってしまうとか。(ほかの参加者が名刺交換や軽く意見交換をしたくても出来ない罠…)


 たとえば昨今注目されるファシリテーションの手法を活用するなどしたら、もっと充実した集まりになったと思います。(遠方からの参加者もあったそうですが、結局名刺交換はできずじまいでした(;´Д`)
 いちおう職員の方にそういう問題意識を投げてみたら、会場によっては(参加者が多い都市部の勉強会など?)交流会のやり方を工夫することもあるのだとか。


 ところで、名刺交換会といいますとと、先日図書館系ブロガーで意見交換会が催されたそうです。(id:katz3 id:nabeta id:kunimiya id:milkya id:tzh
 「突発的図書館系部ブログオフinつくば」〜かたつむりは電子図書館の夢をみるか〜
 http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20070805/1186338828


 私は、8月17日(金)・18日(土)と東京に滞在する予定がございまして、17日にはコミックマーケットの視察(笑)や知人の会社の展示会を訪れるため1日埋まっています。18日は日中、中小企業診断士の研究会活動がありますが、18時以降は空いています。
 そういうわけで、もし東京で私に会いたいという方がいらっしゃったら、連絡をとっていただければお会いすることができます。(主な関心領域は「ビジネス支援」ですが、例えば絵文録ことのはの中の人などとも面識があります)