ブログとリアルの関係ってラプラス変換みたいなものでは?

 はてなブックマークを介して連携(;´∀`)している〜大ブロ式〜のid:santaro_y氏のところで、いわゆるネットとリアルの関係について問題提起が為されているので、そこで言及されているid:catfrog氏(好むと好まざるとにかかわらず)のエントリーとあわせて反応してみる。

 デジタル・ディバイドの二つ目の境目、をはっきりさせる質問(santaro_y)
 http://d.hatena.ne.jp/santaro_y/20051218/p1
 【匿名実名】デジタル・ディバイドの二つの境目(catfrog)
 http://plaza.rakuten.co.jp/catfrog/diary/200505300000/


 両エントリーを読んでいるうちに、ブログとリアルの関係というのは「ラプラス変換」に準(なぞら)えることができるのではと思い至った。
 ラプラス変換は、機械の自動制御の場面などで盛んに用いられる数学的技法だ。
 わりと複雑な微分積分の演算が、ラプラス変換をほどこすことで単純な足し算や掛け算の組み合わせとして表わせるようになるなどの特徴をもち、モデル構築が容易になることに加えて(工場設備などの)リアルの挙動に対する見通しがよくなるという効用がある。
 ブログに置き換えるならば、トラックバックによるつながりやアクセス流入の推移によって人と人とのつながりが可視化される、といった効用が指摘できるかと思う。*1
 またラプラス変換においては、公式的な演算処理である変換と、逆方向の演算処理である逆変換をきちんとこなすことが基本事項として求められる。
 これもブログに置き換えると、普段のお山の大将ぶりをそのままブログに持ち込んだために炎上してしまったマスコミ関係者のブログなどは“ウェブログ変換”に失敗した例だといえるし、自身のプロ文筆家としての矜持もあってかもっぱらブログの文章のコピペで構成してしまった「月刊!木村剛」がいまひとつパッとしない現状は“ウェブログ逆変換”でつまづいた例といえるだろう。


 ともかく、そういう便利な技法が存在しますというわけだが、多くの人にとっては現実離れした数学的技法であるために、曲解しようと思えばもっともらしい貶(おとし)めもできる。
 たとえば四則演算に習熟したお受験小学生などが、見た目の単純さから馬鹿にするとしたら、筋の悪い知ったかぶりである。複雑な演算が足し算になるのは、技法として意図的にそうしているのだから。
 また、ラプラス変換虚数に依存しているからヴァーチャルで空虚なものだとか、リアルで適用する工場設備などを保有していない人間がラプラス変換を云々するのは無駄だとか、そういう批判も的はずれなものだ。ラプラス変換はそれ自体が研究・教育対象となる体系化された知識だからだ。
 一方でブログ界隈においては、ブログへの“変換”や“逆変換”がお粗末な例は論外としても、ブログ自体の特徴や効用を正面から捉えていないが故の迷走はまだまだ少なくないと思われる。。。


 おもうに、ブログを始めとするネットの領域が下に見られるのは、ブログ自体で体系化された知的生産物がまだまだ乏しいからではないのか。
 その点、以前ウェブログ図書館の業務日誌ブログで投げ銭がブログ内で波及する可能性を指摘してみたり(2005年8月15日付「投げ銭の仕組みについて考えてみたよ」参照)、株式会社はてな(id:jkondo)のブックマーク・システムにおいてタグの組織化の必要性を当ダイアリーで指摘してみたり(2005年12月15日付「はてなブックマークとの連携ご説明」参照)したのは、そういう問題意識にも立脚しているわけなんだけどね。(残念ながら多くのはてなッ子たちにはほとんどスルーされているが)

*1:この辺りの考察はデジモノに埋もれる日々のCK氏が得意とするところだ。